システムの建設にはドイツの Von Roll AG が落札したが、工事中に ヴォン・ロールのモノ・レール部門が、同じドイツのアドトランツ (Adtranz)に売却された アドトランツもボンバルディア社に買収されボンバルディアがニュー・ヨーク州ー
ニュー・ジャシー州港湾局 (Port Authority of New York and New Jersey) との契約で運行を行っている 車輌はヴォン・ロール製で集電は第3軌条2本
ここでこの系統の会社のごく簡単な変革を書きますと、
スエーデンのアセア社(ASEA 1883年創立 重電会社だが、電気機関車も製造)と、日本のED41アプト式、ED11、ED53 各電気機関車の電気機器を製造したスイスのブラウン・ボヴェリ社
(Brown Boveri 1891年創立 重電会社) が1970年に合併 アセア・ブラウン・ボヴェリ (ABB) 社となる 1996年にはABBの鉄道関連グループとダイムラー・ベンツ社の鉄道関連グループで、
日本のEC40アプト式電気機関車の電気機器を製造したAEGが合併しABB・ダイムラー・ベンツ・トランスポーテーション社となる(略称アドトランツ)
1998年にダイムラー社とアメリカの自動車メーカー、クライスラーが合併 ダイムラー・クライスラー社となるが、1999年にABBがアドトランツの株をダイムラー・クライスラーに売却、
ダイムラー・クライスラー・レール・システムズとなるがボンバルディア社が買収 ボンバルディア・トランスポーテーションの一部となる
(蛇足:ダイムラー・クライスラー社は2007年にクライスラー株を売却ダイムラー社となる) 面白いので、序に世界を牛耳っている鉄道車両製造会社の事を書きたいが、ページ長さの関係で最後のページに
D アセラ・エクスプレス No.2004 (第1編成) H アセラ・エクスプレス No.2003 (第18編成)
アムトラック アセラ・エクスプレス アメリカの高速鉄道版 動力車 + カフェ・カー + ファースト・クラス・カー(44席) + ビジネス・クラス・カー 4両 + 動力車の6両編成 列車座席数 304 振り子式車輌
列車長 203m 動力車幅 3175mm 客車幅 3162 mm 最高速度約 265km/時 営業最高速度 240 km/時
動力車1両につき、6000HP/4470KW 単相交流 2万5000V/60 Hz、1万2500V/60 Hz 又は 1万2000V/25 Hz 架線集電
アセラの振り子機構は96q/時で強制制御が始まり、設計時の最大傾斜は6.8度だったが車体巾が拡大された為、建築限界をクリアする為に最大4.2度とされた
ワシントン〜ニュー・ヨーク〜ボストン間(NEC ノース・イースト・コリドー)鉄道高速化開始については1969〜1972年のページを参照
連邦政府は1991年にNECを含める全米の旅客列車を高速化する検討を始め、クリントン政権の下で1993年には全米3200qの高速鉄道網への投資が検討された
1999年にはニュー・へイヴン〜ボストン間の単相交流 2万5000V/60Hz による電化と、プラットフォームの高床化、踏切の廃止等が完成
アムトラックは車輌製造会社に協力を求め、1992〜1993年にはスエーデンのABBのX200がリースされ、1993年にはシーメンスの ICE 1 、1993年にスペインのタルゴが試験走行を行った
1994年に最高速度240 km/時を含む性能条件を元に競札を行い、ボンバルディア 75%、アルストム 25%の共同出資によるコンソリティウムが落札、2000年の終りからアセラ・エクスプレスの運行が可能となった
(私の記憶では運行開始後暫くして、台車か車輪に傷/ヒビが入り、全ての運行が休止され、スエーデンASEA社からのライセンス生産による電気機関車でのアムフリート列車が代走した事がある)
アメリカの鉄道車両の衝突時強度基準は、貨物列車重量、大型機関車や大型トラックの事もあり、世界でも厳しい NECに関しては旅客専用線で踏切も無く、厳しくする必要は無かったのだが
ACモーター、整流器、インヴァーター等の電気機器、回生ブレーキ関係、台車、衝突時のエネルギー吸収方式はアルストムのTGV技術で、傾斜装置付の車体はボンバルディアが担当
(ボンバルディアは米国内に組立工場所有) アメリカの鉄道車両衝突時の強度基準に対応した為、TGV 車輌よりかなり重くなった
. 残る問題点: アセラの設計最大速度は約265km/時だが、連邦鉄道局は貨物又は通勤列車と共用線区では約240km/時 迄しか認めていない
ワシントン〜ニューヨーク間は1933年に単相交流 1万1000V/25Hz、(1948年に1万2000V/25Hzに昇圧)で電化されており、貨物列車の分離は以前から行われていたが、電気設備や線形の問題で最高運転速度が
217km/時にも拘らず、平均速度は129km/時 (現在ニュー・ジャシー州の直線区間で257km/時 の営業用走行テストを行っている)
ニュー・へイ ヴン〜ボストン間は海岸線に沿っている区間が多い為、曲線も多く、ごく一部で 最高運転速度は 241km/時だが、殆どの区間で 177km/時
ニュー・ヨーク〜ニュー・へイ ヴン間は1986年に単相交流 1万2500V/60Hzに変更された(以前は1万1000V/25Hz)、その後、ペン・ステーションの先からニュー・へイヴン迄 2万5000V/Hzに昇圧されたようだが、即ち
3方式の交流電化区間があった
ペン・ステーション〜ニュー・ロッシェル間は複線で一部貨物列車も使用 ニュー・ロッシェル〜ニュー・へイ ヴン間は二つ手前のミルフォード迄複々線、ミルフォード〜ニュー・へイヴンは3線 全区間で通勤列車と併用
ニュー・ロッシェル前後のニュー・ヨーク州内では、39 の写真(これはマンハッタンに入った直後だが)でも判るが、隣通しの線路間距離が狭く(日本よりも)、最高速度145q/時に制限(鶴見事故のような事故が起これば大変)
この区間では、アセラ車体と隣り合わせの車体間距離は、振り子制御使用では最短で25cmとなり、振り子制御の使用は許可されていない
ニュー・ロッシェル〜ニュー・へイ ヴン間高速化の為の架線及び懸架方式の近代化、橋の近代化、曲線改良等の計画はあるが、実現されるかは不明
F ボンバルディア/アドトランツ ALP-46A ニュー・ジャーシー州交通局(NJDOT) No.4663
ALP-46A ニュー・ジャーシー州交通局(NJDOT) 2009〜2011年ドイツからの輸入36両 NJT No.4629〜4664 B-B 機関車重量約 93トン 軸重約 23トン 最高速度約 200km/時
ボンヴァルディア MITRAC 3000駆動装置(MITRAC TC 3360) コンヴァーター 1台車につき IGBTインヴァーター 2基で MITRAC DR 3000系モーター2基制御 出力 7500HP/5600KW (レール面)
APL-46 NJT 2001〜2002年 ドイツからの輸入 NJT29両 No.4600〜4628 機関車重量約 90トン 軸重約 22.5トン 最高速度約 160km/時
ALP-46Aと共通点 全長約 20 m 全巾約 2.95 m 単相交流 2万5000V/60 Hz、1万2000V/25 Hz 又は 1万2500V/60 Hz 客車用電源 3相交流480 V/60 Hz、 1000kW
. ドイツの101形電気機関車をベースにしてドイツの工場で製造された 購入したのはニュー・ジャーシー州交通局のみ
. ボンヴァルディア MITRAC 3000駆動装置(変圧器、1台車につき MITRAC TC 3100整流器1基で MITRAC DR 3000系 モーター2基制御) 出力 7108HP/5300KW (レール面)
G アルストム コメット V プッシュ・プル運転用の制御車 No.6082 2006年 ステインレス・スティール車体 座席 109人
J ボンバルディア コメット IV 制御車 No.5026 1996年〜1998年 NJDOT No.5009〜5029 全長約 25.5m 全巾約 3.15m 全高約 3.8m 座席 104 制御車自重約 48.6トン 制御車の運転席横のドアが無くなった
付随客車 座席 113 自重約 46.7トン(トイレ付 No. 5235〜5269)、 45.8トン(トイレ無 No.5535〜5574)
K アムトラック No.9649 バッド社製のメトロライナー(1971〜1972年ページ参照)電動制御車から駆動用機器を外し、制御車としてプッシュ・プル運用に使用
これはニュー・ヨーク・ペン・ステーション〜ハリスバーグ(ペンシルヴァニア州)間、キーストーン・サービス(列車)での電機との運用に使用されているようだ ディーゼル機と組んでいる制御車が圧倒的だが、制御方式に差がある筈
28 パス PA5 No.5828 川崎重工で2008〜2011年に340両製造された 営業運転は2009年7月から A(運転室付) No.5600-5819 B(付随車) No.5100-5219 ステインレス鋼車体
交流モーター 全長約 15.5m 全巾約 2.8m 座席35 最高速度約 88 km/時ニュー・ヨーク市地下鉄R142Aの改良型
川崎はこれ以前にもパス用車両を製造している 1987年製の PA4 No.800〜894 で、全て運転室付 ハドソン河の下を走るという事で、信頼性の高い川崎重工が選ばれたと思う
パス(PATH)はポート・オーソリティ・トランス・ハドソンの略 ニュー・ヨークとニュー・ジャシーの両州が運営するハドソン河横断地下鉄
29 コネティカット交通局 ショアライナー No.6207 プッシュ・プル制御車と GE P32AC-DM No.224
ショアライナー ショアライナーには製造時期によって、I から V 迄あるが、車輌ナンバーに関する資料が乏しく、写真に写っている一両毎の解説は難しい
ショアライナー I ボンバルディア 1983年に39両 両車端に片開きドア 偶数車にトイレ NJT のコメット II が元になっており、ほぼ同じ 2008〜2009年にオヴァーホール
ショアライナー II ボンバルディア 1987年に36両 ほぼショアライナー I と同じ 2008〜2009年にオヴァーホール
ショアライナー III ボンバルディア 1991年に49両 車体中央に両開きドアを増設 偶数車には中央ドアの横にトイレ NJDOT のコメット III が元になっており、ほぼ同じ
ショアライナー IV ボンバルディア 1996〜1997年に50両 1998年に10両 ショアライナー III とほぼ同じだが、NJDOT のコメット IV を元にしている
各形式共、運転席有と無がある 運転席と書いたのは乗降口ドアを開けた位置に折畳みのイスと運転装置が(ある)あったから メトロ・ノースが青、コネティカット交通局所属は赤の帯.となっている 座席定員は102〜130
31 メトロ・ノース GE P32AC-DM No.216
32 メトロ・ノース ショアライナー No.6306 プッシュ・プル制御車
34 メトロ・ノース GE P32AC-DM No.224
35 コネティカット交通局 川崎 M8 No.9105 コネティカット交通局とメトロ・ノース所属
川崎 M8 2010年〜 全長 25908mm 全巾 3200 mm 自重 A車 65.7トン、B車 65.2トン 最高速度約 160km/時 座席数 A車 110、B車 101
直流 650V第3軌条集電、又は、単相交流 1万2500V/60Hz、2万5000V/60Hz 架線集電 M2、M4、M6 総数342両の代替車輌
グランド・セントラル・ターミナルから125ストリートの先で分岐するハドソン線と、ペルハムで分岐するハーレム線(ニュー・ヨーク交通局/メトロ・ノース)は直流 650V第3軌条集電 ペルハム〜ニュー・へイヴンと一部の支線は
単相交流 1万2500V/60Hz、ニュー・へイヴン〜ニュー・ロンドンは2万5000V/60Hz 架線集電(アムトラックがニュー・ヘイヴン〜ボストンを電化した際の電圧)
80両のオプション付で300両発注され、最終的に380両 (A + B 編成 電動制御車) となった その後、2011年に 25両の制御車が、オプション25両で追加発注された
順次納入されているが、予定より遅れている 2012年10月迄で78編成納入
36 アムトラック GE P32AC-DM No.708
42、47 コネティカット交通局 No.8465 どう見てもM2のバー・カーとしか思えないのですが もし M2 とすると バッド社 M2 1972〜1977年に244両製造 162HP/121KW GE 1259 直流モーター4基使用
バー・カーは20両製造されたが、メトロ・ノースの分は全座席車に改造された 乗降ドア間にバー・カウンターと、握り棒の周囲に丸いクッションが装備されている ドアからの両端は普通座席となっていたと記憶する
通常はグランド・セントラル・ターミナル側に連結されるが、営業は平日のみ ミニチュア瓶からウイスキーを注いでくれた ビールや炭酸飲料、つまみ等も購入できた
通常はニュー・へイヴン線運行の為、その他の列車ではプラットフォームに入った辺りで営業しているカートから購入>
43 コネティカット交通局 川崎 M8 No.9113
48 コネティカット交通局 モリソン・ヌッドセン製 M6 No.9020 と ショアライナー No.6316
モリソン・ヌッドセン M6 1993年 No.6000〜 詳細不明 M2形の後、東急車輛がM4を54両製造、M6はその次の形式
バッド社が倒産した際にニュー・ヨーク交通局がM2の製造ライセンスを譲り受け、M4、M6の基本的なデザインとした アメリカ社の基本設計デザインによる最後の電車系列